No Line On The Horizon / U2
- アーティスト: U2
- 出版社/メーカー: UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
- 発売日: 2009/02/25
- メディア: CD
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「ロックでメッセージを伝えるのはダサいなんて言ってる奴は、ロックをわかってないと思うな」
忌野清志郎
だとするなら、U2は「ロックをわかっているバンド」と言えるかも知れない。
昨今の平和活動を色濃く反映した、メッセージ性の非常に強いアルバム。
サウンドからジャケットデザインまでモノトーンで統一された世界観の中、若干柔らかみを増したと思える楽曲群でまとめあげた今作は、確かに聞きごたえがある。水平線をシンプルに撮影した写真に「=(イコール)」のシール。デザインも素晴らしい。
ともすれば大仕掛けに走りがちなスケール感をシンプルな構成に封じ込めたセンスも見事だと思う。
だが所々に見え隠れする(と感じてしまう)、安物の新興宗教めいた響きがどうにも気になって仕方がない。
メッセージを伝えることは素晴らしい。彼らが著名な慈善活動家であることも知っている。
だからこそ、だ。
U2が、ロックバンドが積極的に慈善活動を行なっているのか。
慈善活動家がロックバンドとしてアルバムを出したのか。
今作でそれが分からなくなってしまったように感じる。
そんなことはどうでもいい、もっと緊急かつ巨大な問題が世界には山積みなのだ、と言われれば、それはそうなのだけれど。
「音楽」としてこのアルバムに接する時、僕はほんの微妙な違和感を覚えてしまうのだ。